同一性命題

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6 結語

 以上対象説を批判し、メタ言語説を擁護してきた。これまでの考察から帰結する結論は次の通りである。論理的自己同一性とは、まがい海亀スープの存在から誤って存在するとされたまがい海亀のように、同一性命題の存在から誤って存在されるとされた仮象に過ぎない。同一性命題を巡る様々な概念上の混乱の第一の原因は、このようなありもしないものを捨てきれなかったことにある。もう一つは、二つの名前の共指示性や通時的連続性を、同一性命題を巡る考察のうちにどのように位置付けるかを正確に見積もれなかったことにあると診断する。このような方向が同一性命題を解明する正しい方向であると考える。

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